地獄絵図
昔から
父親とは仲が悪いわけではないが
会話はあまりなく
一緒の空間にいるのが居心地悪く
あまり関わりたくない存在である
ただ
孫と遊ぶのが大好きで
一緒に暮らしてないので
よく母親を通して
今日は暇だからと
孫に会いたいアピールをしてくる
ある日
5才の息子を実家へ連れてったところ
息子を両親に預け
自分の部屋でゆっくりしていた
しばらくして
息子の様子を見に行く途中
おそらく
かくれんぼか何かをしていたんでしょうね
孫と勘違いして
柱のかげから
あまり会話がなくあまり関わりたくない存在の
父親が
ものすごいアホな顔で
ものすごい勢いで
ものすごい大きな声で
ワァーと飛び出してきた
その瞬間
うぉー!と声をあげ身構える私
私とわかって
うぉー!と私以上に驚く父親
廊下は地獄絵図と化した
気まづい空気の中
無言で立ち去るが
ふと振り返ると
再び柱のかげにスタンバイする
まぬけで素敵なじじいの姿があった